何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】



「あの人、なんでそんな花火が好きなんだろう?」

華子が空に上がる花火を見上げながら、ふとつぶやいた。

「ちがうよ。」

天音もまた、再度天を仰いだ。
涙がこれ以上頬をつたわないように。

「伝えたい事があるんだよ。」

そして、潤んだ天音のその瞳には、空に高く上がる花火が映っていた。

「天音…。」

星羅は、そんな天音の方をじっと見つめていた。