「これは終わりではなく、始まり。」
―――そして、静かに幕は上がった。
「どこ…じいちゃんは…。」
ここで初めて、ポツリと覇気のない声が天音から発せられ、りんは天音の方へと視線を移した。
「それを聞きたければ、石を持って行くのよ。あそこへ。」
そう言ってかずさは、遠くにそびえ立つ城を指差した。
―――そう、それは始めから決められた運命。
「返してよ…。」
力ない声でまた、天音がつぶやいた…。
(私の大事なモノ)
「城イコール国…。」
りんもまた力なくつぶやく。
「石だかなんだか知らねーけど、回りくどい事はもういいだろう。国を潰せばいいだろ?」
なぜか、突然、話に参戦してきた月斗が、そう吐き捨てた。
彼もまた、彼女と同じように、取り返したいものがあるのだ。
「…。」
彼の声を久しぶりに聞いた天音が、何の感情も持たない瞳を月斗に向けた。
「ジャンヌダルクは人々を率いたけれど、国にはめられて、多くの犠牲を出した。その一回の失敗によって、人々は彼女を疑うようになった。その事につけこんで、国は彼女を魔女だと言い張り殺した。」
かずさはなぜかここで、ジャンヌダルクの話を持ち出してきた。
その意図とは一体…。
りんはかずさの話に耳を傾けながら、そんな事を考えていた。
「…。」
しかし、その話に天音はやはり目を伏せた。
―――そして、静かに幕は上がった。
「どこ…じいちゃんは…。」
ここで初めて、ポツリと覇気のない声が天音から発せられ、りんは天音の方へと視線を移した。
「それを聞きたければ、石を持って行くのよ。あそこへ。」
そう言ってかずさは、遠くにそびえ立つ城を指差した。
―――そう、それは始めから決められた運命。
「返してよ…。」
力ない声でまた、天音がつぶやいた…。
(私の大事なモノ)
「城イコール国…。」
りんもまた力なくつぶやく。
「石だかなんだか知らねーけど、回りくどい事はもういいだろう。国を潰せばいいだろ?」
なぜか、突然、話に参戦してきた月斗が、そう吐き捨てた。
彼もまた、彼女と同じように、取り返したいものがあるのだ。
「…。」
彼の声を久しぶりに聞いた天音が、何の感情も持たない瞳を月斗に向けた。
「ジャンヌダルクは人々を率いたけれど、国にはめられて、多くの犠牲を出した。その一回の失敗によって、人々は彼女を疑うようになった。その事につけこんで、国は彼女を魔女だと言い張り殺した。」
かずさはなぜかここで、ジャンヌダルクの話を持ち出してきた。
その意図とは一体…。
りんはかずさの話に耳を傾けながら、そんな事を考えていた。
「…。」
しかし、その話に天音はやはり目を伏せた。

