時は夕刻。日が暮れ始めていた。
なぜこんな時刻に死刑執行をするのか。それを民衆は知るはずもない。
しかし、こんな時刻にもかかわらず、多くの人々が広場に集まっていた。
それはただの興味本位か、それとも…。
「へー。死刑執行にこんなに人集まるんだ。みんなもの好きだね。」
華子が広場に出来た人だかりに、周りをキョロキョロと見回した。
華子と星羅、そして天音も広場に足を運んでいた。
「もの好き…。確かにそうね。でも見たいのよ。この国の答えを。」
しかし星羅は、この異様な光景を目にしても、いつものように落ち着いて言葉を吐いた。
「答え…?」
華子が星羅のその言葉に首を傾げた。
「ええ。」
「…。」
二人の会話を聞いているのかいないのか、天音はただぼんやりとした目で、バルコニーを見上げていた。
やはり今日もその目に感情はない。
(かずさの言う通り。星羅の言う通り。やっぱりこれがこの国のやり方……。)
だってもう、わかりきっていた。
やっぱりこの国は…

