何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「死刑…?」

京司が官吏から発せられたその言葉に、顔を歪めた。

「ハイ。」

京司にも、月斗の死刑の知らせは、すぐ様伝えられていた。

「ちょっと待て!なんで俺に何の相談もなく!」
「ご相談するまでもないでしょう。」

官吏の隣で、宰相が冷たく言い放つ。

「民の言葉に耳を傾けず、お前らはただコントロールするだけか!!」

居てもたってもいられなくなった京司は、大声を上げ叫び、机を叩いた。

(この国は、いつからこうなった?)

「犯罪者の肩を持つのですか?」
「ちがう!そういう事じゃねーだろう!」
「国を治めるという事は、こういう事なのです。天師教様。」

宰相の冷たい視線に、京司は思わずゾクリと肩を震わせ押し黙った。

(彼らに何を言っても無駄だ…。)

京司は、それを否が応でもわかってしまったのだ。
この国はもう…。