何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】


「明日は満月…?」

青が小さな声で尋ねた。

「…ええ。」

隣にいたかずさが、静かに頷いた。

「天音を救うのは、やっぱり僕じゃなかった。」
「…。」
「…この笛を使う事は、きっと一度もない。」

ポト
青の力ない手から、笛が床へと落ちた。

「あなたには、足りないものがあるわ。」

かずさが青に向かって、真剣な眼差しを向けた。

「それは…光…?」

そして、青がまた力なく答える。

「ちがうわ…。」
「じゃあ何…?」