「あなたは、天師教の前に一人の人間でしょ。京司でしょ。」
「星羅。」
「京司なら、天音を助けてあげられるわ。」
そして、星羅は微笑んだ。
その笑顔は、やっぱり昔となんら変わっていない。
「…天音は、俺を何度も助けてくれた。俺を天師教としてじゃなく、京司として、ただ一人の人間として見てくれたのは、この城に来て天音が初めてだった。」
京司は、ポツリポツリと言葉を落とした。
「今の時代、明日はないかもしれない…。会いたいと思ったら、今会わなきゃだめ。」
その言葉が、京司の胸に突き刺さった。
それは、大事なものを失くした星羅だから言える言葉。
(なぜ…忘れていたんだろう…。俺は大事な事を…。)
コンコン
「そろそろお時間です。」
外にいる見張りの者が、部屋の扉をノックした。
「じゃ、もう行かなくちゃ。」
星羅はそう言ってすっと立ち上り、背筋をピンと伸ばした。
「星羅。ありがとう。」
「…私の方こそ。」
「なあ、歌、歌ってるか?」
そして、京司が最後に尋ねた。
「…私は妃になれない。だって私の夢は、歌手になる事だから。」
そして星羅は、今日一番の清々しい笑顔を京司に向けた。
「また…聴きたいな…星羅の歌。」
カツカツ
星羅はそのまま、扉へと向かい歩き出した。
パタン
そして扉が静かに閉まり、その日の謁見は滞りなく終わりを告げた。
「星羅。」
「京司なら、天音を助けてあげられるわ。」
そして、星羅は微笑んだ。
その笑顔は、やっぱり昔となんら変わっていない。
「…天音は、俺を何度も助けてくれた。俺を天師教としてじゃなく、京司として、ただ一人の人間として見てくれたのは、この城に来て天音が初めてだった。」
京司は、ポツリポツリと言葉を落とした。
「今の時代、明日はないかもしれない…。会いたいと思ったら、今会わなきゃだめ。」
その言葉が、京司の胸に突き刺さった。
それは、大事なものを失くした星羅だから言える言葉。
(なぜ…忘れていたんだろう…。俺は大事な事を…。)
コンコン
「そろそろお時間です。」
外にいる見張りの者が、部屋の扉をノックした。
「じゃ、もう行かなくちゃ。」
星羅はそう言ってすっと立ち上り、背筋をピンと伸ばした。
「星羅。ありがとう。」
「…私の方こそ。」
「なあ、歌、歌ってるか?」
そして、京司が最後に尋ねた。
「…私は妃になれない。だって私の夢は、歌手になる事だから。」
そして星羅は、今日一番の清々しい笑顔を京司に向けた。
「また…聴きたいな…星羅の歌。」
カツカツ
星羅はそのまま、扉へと向かい歩き出した。
パタン
そして扉が静かに閉まり、その日の謁見は滞りなく終わりを告げた。

