「天音に会ってあげて。」
星羅は、一番伝えたかったその一言を、もう一度京司に伝えた。
「…天音。」
京司はその名を、久しぶりに口にした。
「あの子は、あなたの助けが必要なの。」
星羅もあんな姿の天音は、もう見てられなかった。
そして、今の彼女を救えるのは京司だけだと、星羅は悟っていた。
「…天音と会ったのは、あの池だった。」
すると、京司が小さくポツリとつぶやいた。
「…怖いの?もし自分が天師教だとばれたら…。」
「え…。」
京司は、思わず顔を上げて、星羅を見た。
そんなにはっきりと、誰かに言われたのは、初めてだった。
彼の心の内など、星羅にはお見通しのようだ。
「あなたが一番天師教の名にすがっているんじゃないの?」
「…。」
京司はその言葉に思わず息を飲んだ。

