何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「…ここで出会ったの。彼に…。」

天音は観念したのか、ゆっくりと華子に話し始めた。
やっぱり華子には、全てを話しておきたかった。
最後に…。

「…天音。たぶんこの池は皇族の敷地だよ。」
「え…。」

天音は目を見開いて、華子を見た。

「知らなかったの?勝手に池に行ってたのバレなくてよかったね。」

華子はまた、悪戯っ子のように笑って見せた。

「…そっか。」
「…で?」

華子はまだその笑みをやめない。

「え…?」
「やっぱり妃には、もうなれそうもないね。」
「…。」
「好きなんでしょ?その人の事。」

華子が、今度は母親のように優しい眼差しを天音へと向けた。