「皇后様…何を…。」 士導長は、皇后の言葉に驚きを隠せず、その場に固まっていた。 「その天音って子に、会わせて欲しいの。」 皇后の凛とした真っすぐな目が、士導長を捕えて放そうとしない。 皇后は天音にどうしても会わせて欲しいと、士導長に頼みこんでいた。 「…。」 士導長は口をつぐんで、思案した。 「私の目で見たいの。」 しかし、士導長を見つめるその瞳は、一切引く事はない。 その瞳の強さに従うしかない事は、士導長には分かりきっていた。