「…城イコール国…。全部国なんか…。」
今度はりんが、かずさに向かって問う。
彼の顔にはいつもの笑顔はなく、苦虫を噛み潰したような、その表情が張り付いている。
「…。」
かずさは口を固く結んでいて、やはり何も語る気はなさそうだ。
「どういうことや、何なんやこの国は!!」
りんが突然叫んだ。
彼もまた、爆発寸前だった。
しかし、天音の手前、それを表に出すわけにはいかなかった。
ただ叫んだところで、自体は変わるわけではない。
「行くで。」
それをちゃんと分かっていたりんは、真っすぐ町の外を見据えて、その言葉を投げかけた。
「お前もどうせ行く当てないんやろ。なら付き合ってもらうで。月斗。」
どうやら、その言葉は月斗に向けられていたものだった。
(俺がここに居たの気づいてたのか…。)
月斗は疲れ果てたのか、彼らから少し離れた道の端に腰を下ろして、天音達の様子を傍観していた。
一応フードは深く被って顔は隠していたものの、りんにはバレバレだったらしい。
「…わいがかくまってやる。行くぞ!」
(何なんだコイツら…。訳がわかんねぇ…。)
月斗はそんな感情とはうらはらに、疲れた体にムチを打ち、ゆっくりと立ち上がった。

