「クッソ!!恐怖心植え付けつけよって!!」
そう言いながら、りんは人ごみを掻き分け、城の入り口である門の傍まで走り出した。
「りん!!」
その時、城の中から走って出てきた華子が、りんに駆け寄った。
「華子?大丈夫か?」
「いないの!!天音がいないの!!」
華子が必死の形相で、りんの腕を掴んだ。
「え…?」
「朝、部屋にいなかったの。でも、部屋の周り探してもどこにも…いなくて…。もしかしてまだ…城の中に…。」
華子はひどく動揺しながらも、何とかりんにその状況を説明する。
「はぁはぁ。広場にもいなかった…。」
広場を探していたであろう星羅が、華子の元へと駆け寄ってきた。天音はやはり広場にもいないようだ。
となれば考えられるのは、城の中。
普段は冷静な星羅の額には、汗が光っていた。

