何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

カツカツ
地下にあるこの場所には、煙はまだ届いてない。

「燃えてるわよ。」

地下の牢屋には、昨日捕らえられたばかりの月斗が、鉄格子に背を向けて寝転んでいた。

「あっそ。」

月斗は全く体制を変えず、口だけを動かし、そっけない態度で返した。

「死ぬわよ。」

かずさがその背中に再び声をかけるが、月斗は全く興味を示そうとせず、どうでもいいようだ。


「俺は死なねー。」


月斗はそう吐き捨てたが、やはり、こちらを向く事はない。
そして、かずさもまた、彼にそれ以上歩み寄る事はしない。