『賞をとられた絵画ですが、モデルはいらっしゃるのですか?』




「……、います。」



バカ正直に答えることも、ないのだろうが。



今の俺があるのは、あんずの、おかげだ。




『もしかして、恋人だったりして~?』



俺の顔を下からのぞき込んでくる、おっさんインタビュアー。



「はい。」



『……そ、そうですかぁ~』



あまりに素直に認めた為に、面食らった様子の、おっさん。



『彼女は、どんな方なんでしょう?』



身を乗り出して、俺に迫るおっさん。ちけーんだよ!思いつつ。



「可愛くて、照れ屋で、はにかむように笑う、俺の大切な人、です。」



もう、それだけは間違いようがない、事実だ。



俺にとってあんずは、何にも代え難い、唯一無二の、存在だ。




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