「どうぞ、ゆっくりご覧になってくださいね。」
お店のお姉さんに、そんな風に声をかけてもらって、あたしも軽く会釈で応えた。
「それ!それって、ウチのブレスレットですよね?!きゃ~!!素敵!!お客さまだったんですね!!」
あたしの手首を、もぎ取りそうな勢いで急に掴んだお姉さんに、目を白黒させつつ、なんとか頷くことで答えてみせた。
「わっ!すみませんッ!!思わず興奮してしまって…。そのブレスレット、選ばれた方がとても素敵だったので、よく覚えているんですよ。」
そんな風に前置きして、お姉さんが話してくれた。
あの日、息せき切ってお店に飛び込んできたあらたは、迷わずにこのブレスレットを選んだ。
そうして、「彼女さんにですか?」と聞いたお姉さんに、
「はい。とても大事なひとなんです。」と、答えたという。
「さらっとそんなこと言っちゃえるなんて、素敵ですよね。思わず言っちゃった!みたいな顔をされて少し、恥ずかしそうにしてらして。でも、やっぱり彼女さんも素敵な方ですね。」
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