「あんず。」



聞き慣れた声は、愛おしそうにあたしの名前を呼ぶ。



同時に、触れ慣れているあらたの指が、頬に落ちた髪を優しく払う。



そのままその指は、あたしの耳へ髪をかけた。



髪に耳にくちびるに。



次々に滑る指先が、気持ちいい。



おでこや髪の先、耳たぶや指先。



あらたのキスで埋め尽くされてゆく、あたしのカラダ。




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