丁寧に、白いりぼんを解く指先を見つめる。
「わ、すげー。」
目を丸くしながら、感嘆の声を上げてくれた。
「いつものお散歩コースにね、新しくできた雑貨屋さんで見つけたの。オーナーの手作りで一点物なんだって。」
説明するあたしの声に、耳を傾けながら手のひらに乗せた、小さなキーホルダーをながめるあらた。
「ホントにすげー、そっくりじゃん。サンキュー、あんず。」
あたしの肩を抱き寄せて、前髪にくちづけてくれた。
あらたの手のひらに乗っているのは、色まで同じのあらたの車の形のキーホルダー。
偶然見つけて、喜んでくれるあらたが想像できて、嬉しくなってりぼんまで結んでもらった。
もちろん、たくさんの色のりぼんから選んだのは、あらたとあたしの、白。
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