「な?」



絡まった2人のてのひらを、持ち上げたあらた。



そのてのひらに、リップノイズ付きのキスを落として、悪戯っぽく笑う。



「ほら、あれな?2人で見た初めての朝陽。俺さ?すげー嬉しかったんだよ。好きな子と初めて見たからな。あんず色、だったよな。あの朝陽。」



見上げたあらたの頬は、柔らかな紅色に染まっている。



「で、あっちは、あんずの手と俺の手。今みたいにしっかり繋がってんだろ?あんずの手はさ、細くてちっちゃくて頼り無げだけど、俺を抱き締めてくれるときはすげー頼もしいんだよ。あんず、知ってた?」



そんな風にあたしに問いかけるあらたの声は、優しくて。



その事実だけであたしは、生きてゆける。




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