「…ん…?なんだか急に…触れたく…なっちゃった…」



なんて、だんだん小さくなってしまったあたしの声は、ワガママを言う小さな子どものようで。



恥ずかしくて、真っ直ぐにあらたの顔が見られない。



伏せたままの、あたしの目線の先にはあらたとあたしのてのひら。



「でも、ごめんなさい。お仕事中なのに。あたし、ご飯の用意しておくね。」



言いながら、立ち上がろうとしたあたしのてのひらを掴んだのは、暖かく優しいあらたのてのひら。



「なぁーに、遠慮してんの?」



強い力で、あたしの手を握ってくれた。
 


「あんずは、特別、だ。いつもどんなときでも、な?」





一言ずつ、丁寧に区切られたあらたのコトバは、あたしの心の奥深くまで染み込んでゆく。




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