「あらた。何を独りで笑ってるの?」 ぼうっとしていたために、目が覚めた彼女の声で我に返る。 「起きたのか。」 「ん。おはよ。」 寝起きの彼女は、小さくて頼りなげで、護らなければ。自然とそんな感情を俺に抱かせる。 「なぁ、あんず。今日の夕飯は なんだかえらく豪勢みたいだけど、なんかあったのか?」 なんて、あんずの顔色を伺いつつ、そんな風に切り出せば。 「……、」 何かいいたげな表情が、哀しげに歪んだ。 .