「だって、あらた。こんなガサガサのくちびるじゃ、ファンのコたちが、がっかりするよ?」


「いーんだよ。俺がキスしたいのは、あんずだけだから。」


「……。」


黙り込んだあたしの指先から、リップクリームを抜き取った、あらた。


「…え?!ちょ…っと、あらたッ!!」


押さえ込んだあたしのくちびるに、ぐりぐりとリップクリームを塗り込んだ。



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