「…手袋、忘れた…」 つぶやいた声は、寂しく響いた。 電車から降りて、駅の出入り口に向かって、歩く。 さっきまでは友だちと一緒にいて、お喋りしていたから気にならなかった寒さが、急にカラダに染み込んでくる。 気にならない。 この寒さも、今、たぶんひとりでいるあらたのことも。 …ウソ、だ。 本当は気にしている。 昨日も今日も、ずっと。 …気にしっぱなし、だ。 .