「んー、外れちゃったなぁ。天気予報。」
呟いた目の先に映るのは、雨雲を纏った空。
昨日ほどではないけれど、もうすぐ仕事が終わるというのに、降り出した雨はコンクリートの地面を黒く塗りつぶしてゆく。
職場のコンビニのレジ横に置いてある、ビニール傘に手を伸ばしてお財布を取り出そうとしたとき。
「…え…、」
昨日もかいだ、雨に混ざる白が、開いた自動ドアの隙間から香った。
「よ。」
ぐーぱーぐーぱー。手を振るあらたが立っていた。
「…どうしたの?」
目を見開いてびっくりしているあたしを、
「ふ。」
笑ってみせた。
「天気予報外れたから、な。持ってきた。」
あらたの手には、2本のビニール傘。
そのうちの1本を手渡してくれた。
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