「ね?そうやって考えたら、楽しいね。好きな相手と1つの傘に入るのはすごく嬉しいから。あの傘がちゃんと、雫を避けてくれてたらいいね。」
「…俺、あんずのそゆうとこ、好き。」
急に立ち止まったあらたは、同時に強く、あたしの手を引いた。
「…きゃ…?!」
抱き寄せられたら
あらたの腕の中。
広い胸からは、雨のにおいに混じる、甘い白。
どしゃ降りの雨を避けてくれる、ビニール傘。
透明から透けるのは、雨粒と雨のにおい。
その下で、あらたがくれた、優しいくちづけ。
晴れの日も曇りの日も、月明かりが綺麗な夜もそうして、雨の日も。
あらたはあたしにくちづけを、くれる。
きっと明日も、明後日も。
これからも、ずっと。
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