「濡れるんなら一緒に、な?」 そんな風に、にやりと笑うあらたと、目が合った。 「じゃ。いくぞ?」 宣言ののち、ドアを開けて素早く走り出した。 瞬く間に、濡れ鼠のあらたとあたし。 繋がったてのひらの熱が、優しい。 頭の先から、つま先までずぶ濡れのあたしちに、目を丸くするレジのお姉さん。 気にせずに買った。新しいビニール傘。 なんだかもう、すべてが楽しい。 .