来客を告げるチャイムが、店内に鳴り響く。 カウンター内の掃除をしていたあたしは、顔をあげた。 その直前で、そのお客が知っている人だと気がついたのは、あたしの大好きな香りをその人が纏っていたから。 「いらっしゃいませ。」 語尾が跳ね上がってしまって、恥ずかしい。 「いらっしゃい、ました。」 ぐーぱーぐーぱ。 そんな独特の、手の振り方をしながらレジ前に立ったあらたと、見つめ合う。 .