「…彼女はっ…!あんずは、元気でしょうか…」 出だしの大声は、みるみる小さくなった。 ってか、『あんず』って、あんたの奥さんのことだろ?なんて、意地悪く思ったりする。 膝の上で組んだ指先を、閉じたり開いたりしている、男。 「…あの、あんずは…」 俺の方に、ゆっくり顔を向けて尚も問いかけてくるが、俺だって知りたい。あんずがちゃんと今、元気かどうか。 一番俺が、会いたいのに。 「…あの…」 「…俺も、知らないんです。離れて、しまったので。」 .