「…あらた。隣にいて、ね?」



雨音に重なる、あたしの声。



絡んだ指先に力を入れれば、当たり前のように強く、握り返してくれる左手。



「…キス、してもい?」



そんなあたしの囁きを、少し驚いて大きくなった目で見つめ返す、あらた。



一瞬あと、緩く弧を描いたくちびる。



「って、か。俺がお願いしたいくらい、なんですけど?」



おどけた口調がもう、愛おしい。




.