「あんずの、元カレ。」 「……。」 ぶすっとした、あらたのそんな声音と、『元カレ』の単語が頭の中をぐるぐるとまわる。 「あんずのことを、気にしてた。すごく、傷つけたって。今でもあんずが好きだと思う。あの人は。」 ま?でも、あんずには俺がいるから、いーだろ?な? そんなあらたの告白は、雨音と共にココロに染み込んでゆく。 くちびるから離れた指は、あたしの右手をしっかりと握る。 .