正直に、嘘でも自分も好きだったと言わないところが、トシらしいなと思う。

そしてさくらは、そういうトシを好きだったのだ。



「ごめん」

「謝らないで。謝られたら、今までのトシとのこと全部が、みじめな思い出に変わってしまうじゃない」


さくらは涙を拭い、笑顔を作る。



「ほんと、もう会うことはないと思うけど、頑張ろうね、お互いに」


トシもうなづく。



「夢を大切に。幸せになれよ、佐倉」


席を立ち、トシはさくらに背を向ける。

さくらはその背に向け、心の中でありがとうと呟いた。


終わりと、新たな門出の日。











END