あれから1ヶ月。

美咲は『Rondo』を退店した。


かつての母と同じ世界に身を置き、たくさんのことを学んだが、それと同時に、私はどうやっても母のあの頃の気持ちを理解はできないだろうと思ったから。


すべてを捨てて、男を選んだ母。

母の人生はそれでいいだろうが、自分は真逆な人間であるということもわかった。



だから、これからは、真っ当な仕事をし、真っ当に生き、すべてを含めた自分を愛してくれる人を愛そうと思う。



豊原のことは、もうよくわからない。

でも、いつか、偶然にでも会えることがあったなら、笑って「おかえりなさい」と言ってあげたいと思った。


変わらない自分のままでいたいからこそ、美咲は、キャバクラ嬢を辞めたのだ。


後悔はない。

自分が胸を張れるために。











END