ボロボロで、ぐちゃぐちゃだった。
ついには食事が喉を通らなくなり、辛さを誤魔化すために酒ばかり飲むようになった。
飲んで、吐いてを繰り返しているうちに、だんだん意識も朦朧としてきて、自分が今、生きているのか死んでいるのかさえも曖昧になってくる。
高槻が旅立ってから、今日で2週間。
「あぁ、お前は本当に美しい女だな。最高だよ」
黒川は腰を振りながら、生臭い息を吐きかけてくる。
痛みすらも、もうよくわからない。
さんざん身勝手に彩を抱いた黒川は、満足したのか、さっさとバスローブを羽織った。
彩は起き上がる気力もない。
「ルームサービスでも頼むか」
黒川に声を掛けられたが、彩は何も返さなかった。
しかし黒川は、そんなのお構いなしで、このホテルを常宿にしているらしく慣れた様子で備え付けの電話からフロントにコールする。
シャワーを浴びたい。
せめて黒川の匂いだけでも消したい。
這うようによろよろと体を起こしていた時、コンコン、とドアをノックする音が聞こえてきた。
黒川は「早いな」と言いながら、ドアを開ける。
「社長。ただいま戻りました」
聞き覚えのある声に、我が耳を疑う。
そんな、まさか。



