あれ以来、黒川は、2日と間を置かずに来店し、そのまま決まってアフターついでに彩をホテルへ連れて行くようになった。
当然ながら、黒川が店で使う金も、今までとは桁違い。
「彩さん、すっごーい」
売上を見て、女の子たちが興奮している。
今期は過去最高の売上で、系列店を含めても1位だそうだ。
そしてそのほとんどの部分を、黒川が彩に落としている。
胃が痛くて、吐きそうだった。
濁流の渦に飲み込まれてしまったみたいに、息もできない日々が続いていた。
高槻さんに知られたらと思うだけで死にたくなる。
「なんて顔色してんだよ、お前」
見兼ねた店長が呆れた声を出した。
「なぁ、もっと喜べよ。あのおっさんを手玉に取ったんだって、胸張れよ。私は世界で一番いい女だって、開き直ればいいだろ?」
「店長……」
「彩。俺は誇らしいよ。俺たちが今まで頑張ってきたことは無駄じゃなかったんだ。やっと報われたんだよ。わかるだろ?」
店長は、ここじゃないどこかを見ている。
でも彩にはそこがどこだかわからない。
黒川に抱かれた瞬間から、世界は一切の色を失っていた。



