花吹雪~夜蝶恋愛録~

「あみって欲ないよな。この部屋にもほとんど家具ないし、アクセサリーとかも仕事以外じゃつけないだろ? ほしいもんとかないの?」


ほしいものなんてない。

高槻さんさえいてくれるなら、ほかには何も。



「何? プレゼントでもくれるつもりだった?」

「俺、明日から中国に出張になったんだ」


唐突に、高槻は言った。



「だから、土産、何ほしいかなって」


あぁ、なるほど。

だからほしいものを聞かれたのか。



「さっきいきなり言われてさ。ほんとワンマン社長は困るよ」

「いつまで?」

「3週間くらいかな。でも早く話がつけば、早く日本に戻れると思うし」


3週間。

思ったより長くて動揺する。


3週間も高槻さんに会えないなんて、考えられない。



「お土産なんていらないから、一日でも早く帰ってきて」


抱きつくと、高槻は子供にするように彩の頭を撫でた。



「ほんと可愛いな」

「ねぇ、ベッド行かなくていいの?」

「俺はここでしてもいいけど?」


高槻は、茶化して笑う。

黒川といる時とはまるで違う顔だ。


ふたりで笑ってキスを繰り返す。



どうしてこんなにも、求めても求めても足りないのか。