花吹雪~夜蝶恋愛録~

「黒川さんって、裏ではかなりあくどいことしてるらしいですよ。それですんごい儲けまくってるって。でも警察とも繋がっててそのお金を横流ししてるから、捕まらないんだって」

「へぇ」


予想を上まわる、なんてくだらない噂だろう。

セナは三文小説みたいな話に興奮しているようだが、対照的に、彩はもはや笑みを保つことすら面倒になっていた。


大体、それがすべて事実だとしても、私には何の関係もないじゃない。



「って、彩さん、『へぇ』だけですか!? もっと驚くでしょ、普通!」


セナに揺すられる。


誰がどう稼ごうと金は金だ。

それにもし金が尽きて黒川がいなくなったとしても、次の客が同じようになるだけで、誰が誰でも変わらない。



「別にどうでもいいよ」


どうでもいい。

高槻さん以外のすべての人は、いてもいなくても私の人生には何の影響もないのだから。