第3話[私の本性]
昔から甘えるのは好きだったけど、身内になればなるほど上手く甘えられなかった。
恥ずかしがり屋だったのと自分の意見を人に言って否定されるのが怖かった。その割には自分の正しいと思う意見は言いたくて、絶対に曲げたくなくて。

何回も何回も反論しないように、いい子になるようにって、迷惑かけないようにって何年も何年も思ってきたけど、
リアルには感情と言うのがあって、それを抑えられるほど、私は大人じゃなかった。
中学では友達は数える程しかいなかったし、その友達の中で1番に慣れたことはなかった。

1番仲のいい友達よく先生に聞かれるでしょ?私にとっては1番でも向こうにとっては1番じゃないの。友達にとっての「1番仲のいい」友達がお休みのとき、はたまた喧嘩した時に自分が1人にならないように、キープして置く用のオトモダチ。それが私。代用品だったんだってあとから気づくのに、それに気づけないから代用品としても、予備のオトモダチとしても置いて貰えなくなる。

私は、せめてネットの中でくらい誰かの1番になりたかった。
私は認められたかった。必要とされたかった。

「愛されたかった」なんてことはいわない。
きちんと愛されていたから。家族にも恵まれていたし…こうなったのはオトモダチにしかなれないのは私の性格のせいだから。いい子じゃなかったから。

ネットの中でいい子になるのは簡単だった。
感情がどうであれ指は冷静に相手が欲しい言葉を考えて打ってくれるから。
ニコニコの顔文字添えてコメントを送れば、泣いていたって相手には分からないから。
そうしたらいい子になれるから、
周りにはいっぱい気を使って、この子は今はなんの話しをしたいのか、別の話はいつ切り出すのか、主はその話を嫌がってないか、
頭はフル回転で嫌われないように。

そんな風に立ち回ると自然と立ち位置は確立してくる。
いい子。天然。優しい。純粋。それがりとの周りの印象。私が描いたりとの姿。

お調子者。気分屋。生意気。面倒くさがり屋。そんな璃都とは大違い。これが璃都のリアルの姿。

必死に自分に仮面を被せて自分を守る。
もう捨てられないように。誰からも必要として貰えるように。

そんな璃都は誰からも必要とされない