ずっと前から、学校のクラスでは自分と親友のモカだけ恋人がいなくて惨めな思いをしていたこと。
 モテたいと思い、メイクやファッションを研究しお洒落をし独りでナンパスポットへ行くが、誰からも声をかけてもらえなかったこと。

 最近になって、ナンパがきっかけでモカにもついに恋人ができたこと。
 それらの出来事が重なって、かなりのショックだったこと……。

 ふと目をやると、窓の外はすっかり暗くなっている。
 死神は、私の長い話を真剣な表情でずっと聞いてくれていた。

「私に恋人ができないのは自分が出来損ないだからなんだよ。こんな私、死んだ方がマシだよ」

 そう嘆く私に、

「まだ高校生なんだから、恋人づくりは先でいいんじゃないか。焦らずゆっくりいこう、な」

 優しい声で死神は語りかけてくる。しかし、崖っぷちまで追い詰められた心境の私は納得できない。

「もう高校生なのよ! 高校生にもなって恋愛経験ないなんて恥よ」
「考え方が極端すぎるだろ。恋愛が全てじゃないぜ」

 死神は眉間に皺を寄せた。