「5月は私にとって憂鬱なんです」
私は言いました。

「どうして?」

「学院では毎年、薔薇祭があって、
薔薇のお姫さまが選ばれるのですけれど…」

「うん」

「私は選ばれないってわかっているので」

「ふふふ。どうして?」

「いえ、でも、クリス……
私はあなたに出会えて、本当によかった」

「私もだ、リリー」