「この人がご主人様ですか?」
私は小さい声で尋ねました。
するとメアリーさんは怒った様子でぷるぷるしだしたので申し訳なくて……



「まあまあ……顔を上げて。君が新しいメイドの…………………君は……」



「あなたは……」



そこにいたのは、薔薇祭りの時の、
優しい紳士でした。



「そうか……君が……お父様を亡くしたんだね。辛かったろう。メアリーさん。この屋敷には不幸な人を1人も作ってはいけないよ」


「はい、ご主人様」