寒さがまだ残る3月。 

卒業式の日だ。
と言っても中高一貫校でそのまま残る人がほとんどなので中3生は式をしない。

学校が終わるとみんなは写真を撮っていたり、グループに固まって話をしていたりしている。
私は友達と話していたが彼に花束を渡そうと思い車に駆け込んだ。
そして花束を持った。
彼のところに行こうとしたが彼の姿はない。
そう思いながら探していると後ろから聞きなれた声で私の名前が呼ばれた。
彼は私のところに駆け寄ってきた。
「卒業おめでとう」
そう言って渡してきたのはピンクで揃えられた花束だった。
私は嬉しくて、それに悲しくて涙が出てきた。
それに私も彼に花束を渡した。
私は彼のクールというイメージに合わせて青で揃えた花束にした。
彼も「ありがとう」と言って泣かないはずなのに泣いていた。
お互いが笑って、泣いていた。