「次、52番、瞳田明里さん。どうぞ。」

名前を呼ばれ、面接官がいる部屋に入った。

「瞳田さんは、どうしてヒロイン役を応募なさったのでしょうか」

3人いる中の、右端の面接官に問われる。

「高原くんのファンで、共演してみたかったからです……」

不純な理由な気がしてきたけど、後戻りはできないから諦める。

「いつからファンに?」

「高原くんのデビューの頃から…中学生の頃からです」

中学2年生から、高原くんのファンなんだ。

今で3年くらいか。

意外と長い。

「自分で思う短所と長所をお願いします。」

短所と長所……。

『短所と長所は表裏一体!だよ!』

光里姉の言葉が頭によぎる。

「短所は、心配性過ぎることで、長所は、慎重なところです。」

これは、美菜に言われたことだ。

『あんたね、心配性すぎ!親か?』

あれは、美菜が今の彼氏に告白する時のことだ。

私が、5パターンくらい、作戦を考えて…。

懐かしい………じゃなくて!

集中しなきゃ……!

背筋を、もう一度ピンと伸ばす。

「映画に出るとしたら、どんなお芝居をしたいですか?」

「高原くんみたいに、見ている人に感動を与えるような、見てよかったって思えるようなお芝居をしたいです。」