「あ、あの………」

僕は、"あの子"もとい、明里さんに声をかける。

「はい!」

首を傾げて、笑う明里さん。

僕の大好きな人のものだった。

心臓が締め付けられるように痛い。

バクバクいっている。

「明里さん、ですか?」

「はい!明里です!優香里姉のお友達ですか?」

「はい…!」

まだ初々しい敬語。

なんだか、全てが愛おしかった。

「ふふっ、これからも姉をよろしくお願いしまーす!」

「はい!」

好きだ、と強く感じた。

こんな思いをしたのは初めてだ。

ここまで、彼女に惹かれていたんだ。

自分でもびっくりするくらい。

「じゃあ、明里。戻っていいよー」

優香里さんが声をかけた。

「はーい!では、ごゆっくりー」

裏のない、綺麗な笑顔だった。

僕は恋してるんだな、と実感した。

「ふふっ、変な妹たちですが、デートの件、どうしますか?」

僕の答えは決まっていた。

きっと、将星も。

「「デートの件、引き受けます」」

僕と将星の声が重なった。

「分かりました!」

優香里さんは、嬉しそうに笑った。

妹思いのお姉さんだなぁ、と思った。

「では、将星さん。連絡を後で光里にお願いします」

光里さんと、将星、連絡先交換してるんだ………。