「え〜、私の好きな人教えようと思ったのにい」

適当に相槌を打っておく。

僕は、"あの子"にしか興味がないんだから。

『ピロリン♪』

僕のスマホが鳴った。

将星からの連絡だった。

【将星:後で大事な話あるから、電話する】

大事な話……?

なんだろう、と疑問に思った。

【陽介:OK】

「どしたのー」

スマホを覗き込んでくる美樹。

「ちょ、やめろよ」

美樹は何を考えてるんだ。

「むう」

はぁ………。

美樹とは、若いのに俳優、女優をやっているという共通点があり、親しいが、
こういうところは苦手だ。

踏み込みすぎるというか。

適度な距離感っていうものがあるから。

"あの子"は、きっと美樹とは反対の子だろうなと思う。

気が強そうだけど、相手を考えられるような。

もし違くても僕はきっと信じ続けると思う。

ー ー ー ー ー ー ー ー ー

「よぉ〜すけぇ〜、もっと飲もぉ〜」

完全に酔ってしまった美樹。

「美樹、もう寝な」

僕は部屋から毛布を取ってくる。

「えぇ〜、じゃあぁ、ようすけもぉ〜」

美樹は僕を引っ張る。

「ちょ、やめてよ」

僕は力ずくで身を引いた。

「チッ」

え?

今、美樹舌打ちした?

「美樹?」

僕は尋ねる。

「ん〜、何でもないよぉ〜」

語尾を伸ばして、美樹が言う。

こういう喋り方、僕は苦手だ。