もしかしたら、私がヒロインに…という淡い期待が胸に広がる。

申し込んでみようかなぁ…。

「明里、この人が明里の好きな俳優さん?」

「そうだよっ…」

お母さんは、‘‘好き’’をファンとしての好きだと思っている。

その方が私にとってもいいんだけどね。

「あら、じゃあ、この映画のヒロインやってみたら?お母さん、応援するわよ〜」

お母さんは、にこっと笑った。

「ほ、ほんとっ……!?私、やりたいっ!」

「ええ。じゃあ、申し込みなさいよ〜」

本当に嬉しかった。

あまりの嬉しさにぴょんぴょん飛び跳ねていると、顔をしかめて光里姉がリビングにきた。

「ん〜っ、明里うるさいよ〜」

「ごっ、ごめんね…光里姉」


光里姉(ひかりねぇ)は、高校3年生。

ゆるふわという言葉がぴったりで、
とっても可愛いの。

自慢のお姉ちゃんなんだ!

「あ、陽介くんじゃーん。」

光里姉が、テレビを指さす。

「あのね、光里。明里は、高原くんが出る映画のヒロイン役に応募するのよ〜!」

お母さんが言った。

「えっ!?そうなの!?」

すごいじゃーん!と、光里姉も私みたいに飛び跳ねた。

すると、次は優香里姉がリビングへ降りてきた。

「もー、うるせえなぁ…」