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「明里おはよ」

教室へ行くと、隣の席の陸都が話しかけてきた。

「あ、陸都。おはよ〜」

陸都の頭には寝癖がついていて、思わずくすっと笑ってしまった。

「ん、なんだよ」

「いや寝癖がおもしろくて」

陸都は本当に弟みたい。

「なっ…………!そんなひどいかっ………」

肩を落とした陸都。

「あははっ、大丈夫。そのうち直るよ」

私は机に教科書を入れ、席についた。

高原くんと、デートかぁ………。

信じられないなぁ…。

でも、ほっぺたをつねっても痛いから、本当なんだ…!

「お前何してんの?変な夢でも見たか?」

陸都が私の顔を覗き込む。

「高原くんと………。」

あっ!

口を抑える。

「高原?誰だそれ」

危うく言ってしまうところだった………!

あんまり周りの人に言っちゃうと、誰かに迷惑がかかりそうだから、秘密にしようって決めたんだ。

「えー?そ、そんなこと言ったかなぁ。」

一生懸命とぼけるけど、幼馴染__17年間の付き合いの陸都にはお見通し。

「なんだなんだぁ?ま、後で聞き出してやるからなっ!」

ニヤニヤして、私に言った陸都。

私のバカっ………!

ぷい、とそっぽを向く。

陸都になんて説明しようっ……。

高原くんのこと好きなことバレたら、めっちゃからかわれるに決まってる……!

「高原…って、あの俳優のやつか。」