「ねえ、梨紗さんが、なんだっけ。忘れたけど、高原陽介くんが出る映画の審査、一次の通ったんだってー!」

「ふうん」

「梨紗先輩には当然よね。」 

梨紗先輩も、受かったんだ…!

おめでとうございます、って祝福したい気持ちもあるけど、ライバルだもんね。

なんか、複雑だよ…。

すると、いきなり後ろから声をかけられた。

「明里〜っ!!!」

「あ、光里姉。」

光里姉がものすごい形相で私のもとにやってきた。

そんな光里姉を周りの人たちは、驚いた様子で見ている。

「あ、明里ぃ!ちょっと来て〜〜!」

光里姉に引っ張られた。

「ひっ…光里姉!静かにしてっ…、色んな人見てるからぁ…」

は、恥ずかしいよ……!

「落ち着けないっ!早く!」

光里姉は聞く耳を持たない様子。

「み、美菜たち…、あとでね」

久留美と美菜は、苦笑してた。

「おっけー…」

光里姉は、人の固まりをかき分けて、前へ進んで行く。

「ま、待って…光里姉……!」

「…」

ひ、光里姉…?

光里姉は無言。

何かあったのかなっ………。

そのままずっと歩き、階段をのぼり、ついたのは屋上。

屋上につくと、光里姉はやっとつかんでいた手を離してくれた。