ご丁寧に、ひと粒ずつの説明が書かれた、小さな紙が入っている。 その紙を見ようと、手を伸ばせば、一瞬早くあらたにさらわれた。 「ふーん。9粒全部違う種類なんだってよ。じゃあ、これ。当ててみろよ。」 つまみ上げたチョコレートをあたしの口元に運ぶあらた。 楕円形の繊細なチョコレート。 そっとかじれば、ラムの香りが鼻を抜けた。 「ん。美味しい。」 「なに味?」 あたしの顔を覗き込む。 .