「なぁに、見てんだよ。」 珍しくはにかんで笑うあらた。 「ん?あらたは優しくなったり、反対に…素っ気なくなったりするなぁ、と思って。」 なんて、素直に思うことを吐き出せば。 「そんなの当たり前じゃん。」 唇の端をあげて笑うあらた。 「寒暖の差を付けた方が果物は甘くなんだろ?」 …あたしは、果物か…。 「あんずはさー、可愛いよ。ほんと。」 隣に寄り添うあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。 その大きな手のひらは、いつだって気持ちいい…。 .