「ん?また欲しくなったのか?」 ずるい、本当にずるい。 そんなに甘い声で囁くなんて。 欲しい。あたしはあらたが欲しい。真実の気持ちが…。 でもそんなことは、言えない。きっと言ってしまえば魔法は解ける…。 色んな気持ちを振り払うように、 「もう、離して。」 言ってはみるけど、気持ちとは裏腹な弱々しい声しか出ない。 「離して、やんない。」 あたしの声とは対象的な強い口調のあらた。 …こうしていつも、刻みつけるんだ。あたしに、あらたを…。 .