ウソツキハート




「寒いところの香水だからかな。冷たくて、澄んだ香りがするよね。冷たいあらたにぴったり。」



あらたに後ろから抱かれたまま、そんな風に言ってみる。



どうせ顔、見えないし。



と…、



「…――!いっ…た…!」



耳たぶに鋭い痛みが走る。



こんの!耳たぶかじったよ、この男!!



「誰が、冷たいっ、て?」



囁き声は、あたしの鼓膜を震わせる。



「……あ…っ、」



なんて思わず出た声は、余すことなくあらたに吸い込まれる。



.