ただ一度、あらたに目を合わせたまま、大きく頷いた。


そんなあたしを、おだやかに眺めるあらた。


あたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でて、


「んじゃ、行くか。」


あたしの手を引いて、歩き出す。


「ね、あらた。」


その背中に、喋りかければ。


「ん?」


少し、振り返ってあたしを見る。


「スーツ、似合ってないね?」


素直じゃない、そんなあたしの言葉。


照れ隠しだと、気がついているあらたは、


「んなことは、俺が一番知ってんだよ。バーカ。」



笑ってまた、歩き出す。



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